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“赤裸々” 

肉は、焼きで決まる!?

肉を焼くということは永遠のテーマ。
終りはないし、正解もない。

目指すのは美味しいお肉。




料理通信8月号、見ました?
ガツンと肉特集。
炭火、フライパン、ココット、オーブン、そして龍吟さんはオイルバス!!
でも、スチコン使う人は取り上げてない。
ダメなの?
ま、気にしてないけどね。
僕は僕のやり方をもっと突き詰めていく。
でも、各シェフの考えを読んでいると、同じ考えの部分や、おっ、て参考になること、う~ん、と思うこと、色々です。面白いです。

1つだけ、僕が思うこと。
『塩』について。
先塩、仕上げ、と書かれてあります。
先に塩を振らない人も結構多い。
僕は、しっかりと塩をします。
塩をして置いておいたり、そのまま真空で中まで浸透させたり。
塩を料理で一番大事な食材だと思います。
塩がないと料理はできない。

塩をしてから焼くと硬くなる、浸透しない、という考えもあります。
が、そうは思わない。しっかりと塩を決めておけば、仕上げの塩はいらないと思う。
香りの胡椒で十分だと。
塩をしっかり打たないと、焼ききってない脂身と一緒で気持ち悪いというか、味しないよ?
皿の横にフルールドセルがのってて、「お好みでお使いください」と言われるが、
ジャストで決めていればいらないと思うし、つけて食べたら、それは舌に当たる塩の味。
本当に粗いフルールドセルがいいのか?
フレークソルトとかもあるし。
塩水というのも1つの手かな?


豚の4cm、牛の5cmというカットも、真横にカットしたときに、しっかりと味のする焼いた面、コレも薄い皮一枚を作り、焼いていないジューシーな面と同時に味わう為の厚さ。
塩をすると離水する?
肉によります。しっかりと熟成させて水分を飛ばした肉は離水しない。
逆に、ウットエイジングなどで、真空を開けてすぐとか、若い肉は焼いてる最中にバンバン水分が出てくるのは確か。
肉の表面にしっかりと薄い皮を作りたいから強火ですぐに表面だけ焼き固める。
水分の残った肉は塩をして焼くと水分がでまくる。
ましてやそういうお肉を火力の弱い炭火でダラダラ焼いたら肉の水分も飛ぶし、中まで火が入る。
もちろん、何でも熟成させればいいか?とは思わない。

豚、バスク豚は特別。でも、黒豚とか、トサツから何日目なのか?一日置いてから解体したのか?その日なのか?でも肉質は変わります。基本、日本の豚は熟成に向かないと思う。
届いて1・2日さらしで水分飛ばしてカットして僕はショックで凍らせる。
何度か黒豚を冷蔵庫において毎日焼いたけど日に日に味は落ちていった。
実際、三清屋さんもそういう結果を踏まえてすぐにショックにかけている。

牛肉、北里牛みたいに、解体後すぐに届く物はこちらで熟成をコントロールできる。
物にもよるが、僕は4~5週間熟成かける。
でも、ある程度業者さんで真空にかけられていた物は違う。かなり、個体差がある。
トウガラシとラムイチ、大きさでも変わる。
まあ、その人が何を求めるか?だと思うんだけどね。

シャポーンは、届いて3~4日冷蔵庫で表面の水分を飛ばしてから使う。
シャラン鴨もそう。

”仔”がつくものは熟成させない。水分さらしに水分がつかなくなるくらい。


何人か厨房にいて、肉担当の料理人がいる店と、僕みたいに一人、二人くらいで全ての料理をやらないといけない店では当然システムは変わる。
東京の繁盛店と地方の店でも保存方法から変わる。
ロスを出したくないし、僕は、一番美味しい、と思うところで熟成を止めたいからショックで凍らせる。
尚且つ、ある程度肉の種類を置きたいし。
だから店それぞれで方法は変わる。
でも、コレでいい、と思ったら成長はしない。自分でも食べに行ったり、今回のように情報を集めて、気になることは実践!!そうして進化していくんじゃないかな?

僕もまだいくつかの課題があります。
毎日やりながら細かいところを調整しています。
面白いし難しいです。
Δモードで肉の中心温度を設定しています。
これが結構批判浴びるポイント。
でもね、一人で全ての料理をコントロールする。
素材はその時で表情も状態も変わります。
そういう環境で常にジャストの火入れをしていくためにはこういう方法も大事なんです。
前は、岸田シェフのように出しては入れ、を繰り返していました。
あの方法は衝撃的でした。
でも、勘に頼る部分も大きい。
だって、「あ、もう少しだった。 あ、行き過ぎた」なんてこともないとはいえない。
僕らは毎日焼く肉だが、お客様にとってはそうではない。
60度超えてしまえば終わり。
ソースでごまかす?
機械がやるのは一部分。僕はプロデューサー。コントロールする。
間違っちゃいけない、勘に頼らなければいけないところを機械でやる。
いかに効率よく仕事をするか?仕上がりをよくするか?を考える。
だからラグーもスチコンで仕込む。

僕は僕。食べてもらえれば分かる。


今のCAINOYAの肉の焼き方。

【営業前】
・肉を室温に戻して塩を浸透させる。
・テフロン加工のフライパン(脂が少なくてすむ)を熱して、両面をしっかりと焼き、皮を作る。
・150度スチーム20%のスチコンで3分間入れる。温度が低い分、スチームで熱伝導率をよくする。
・庫内温度を下げてΔモードで中心温度を55度~57度に設定。
・すぐにショックフリーザーで余熱を絶つ。
・保温庫で保存。

【営業中】
・アンティパストの最中に1回、2分間だけスチコンに入れる。 外に放置するとすぐに冷めてしまうので保温庫で保存。1分間だと入れる回数が倍以上必要。→手が回らない。
・コレを数回繰り返して肉の中心温度をじょじょに設定した温度に戻していく。
・スチコンの温度を上げて肉を熱くする。 肉汁が出ない程度。
(ここからが課題)
・豚、牛の場合、横の部分をカット。熱を逃がす。空気に触れることで肉汁も動き出す。
・テフロンのフライパンで最初に焼いた面をサッと焼く。
・真横にカットして盛り付け。


まな板でカットしたときに肉汁が出ないよう。
でも、温いのはダメ。でも。アツアツだと肉汁が出ちゃう。
いかに、肉汁を閉じ込めつつ、温かいお肉を出せるか?
「美味しかった。」と言ってもらえるように。
まだまだ旅は続きます。

by cainoya | 2010-07-14 23:41 | THINK
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