“赤裸々” | |||||
なぜ今、cainoyaはこの鹿児島で、時間もワインも選べない、しかも1万円スタートの店が回りだしてきたのか?? ウチの様なスタイルの店に方向転換したい、独立する時の参考にしたいなど、日本中から沢山の相談を受けるのも事実。 それに対する今の僕なりの考えとお返事を綴ります。 【スタイルについて】 一言で言うと、「やりたい事だけやる。やりたくない事はやらない。人に合わせない」これに尽きると思う。 メニューを絞るとお客様が来なくなる。。。おまかせコースだけにすると選べる楽しさがなくなるから。。。 そう思っているのは自分だけで生き残っている、長く愛され続けているお店は専門店。 その迷いとブレが全てに現れると思います。そして結果なんの店なのか分からなくなります。 何をしたくて料理人になったのか? サラリーマン料理人、職業:料理人。多いよね。。毎日料理してて楽しいのか?? でもcainoyaだって最初っからそう出来た訳じゃなくて、、かなりの遠回りをして色んな人に助けてもらいながらも自分と人に厳しく取り組んできた結果が出つつある、、と思う。 【価格について】 ここ城山にリストランテとしてオープンした当初は880円のパスタランチ、3,500円のディーナーコースからスタートしていますから。 そして9年目で1万円スタートの店になりましたが、「cainoyaさんのように〜」と言ってくれるのはありがたいのですが、段階を踏んでこのスタイルと価格に持って行ったのです。もちろんそれを支えてくれたお客様の応援や後押しがあったからです。 それとウチはオープン当初から1万円のコースをしていて、その前後のコースがあり、少しずつ下のコースを切って行きました。 数年前に一度、8,000円一本化に踏み切った時もそれでもまだ10,000円一本化にする勇気と、月々の返済を考えると出来ませんでした。 それでも12,000円のコースをリクエストしてくださる方が増え、2本化。しかし売上にあまりにもムラがあり結果月末回らない。。 そこで税サ込み、ハーペアリングとお料理をセットにした10,000円JUSTコースを設定しました。 10,000円は決して安くはありませんが、cainoyaでワイン込み10,000円はお手頃だね、行ってみようか。ということで大分安定した売上を確保する事ができました。 結果、Degustazione14,000円、Stagione10,000円、Tasting12,000円の3コースになりましたが料理の組み立て方に工夫があります。 まず14,000円のコースを組みます。10,000円はそこから前菜1皿と〆のお米料理をカット。そしてお肉に明確な差を付けるのです。 カットする前菜も14,000にしか組み込まない特別な物です。もちろんショックフリーザーがあるから出来るんですが・・ そしてお肉に明確な差を設けること。値段上がるとキャビアフォアグラ付きますみたいな設定はどうかな・・ 14,000と10,000円の差はなんですか??と聞かれるということは魅了があれば上のコースを食べたいし予算があると言う事です。 Tastingコースはスターター、スープ、前菜、お肉、パスタ、ドルチェ、カフェで実質14,000円の半分です。 スターターは共通もしくは同じ行程の物にしないと小人数の店ではスタートからツマヅキマス。 お肉も明確に変えますが、基本それ以外が上のコースと同じ料理で部位が違う程度。。。 でも一番大事な事は、鹿児島をマーケットにしていない。ということです。 オープン当初から熊本福岡からのわざわざ食べに来てくださるお客様が多かったのは大事な事です。鹿児島だけだったら不可能でした。 そしてそれはブログを使い発信し続けていたこと。 それから全国放送の番組『BS日テレスペシャリテ紀行 皿の上の物語』に出たり、 専門料理、料理王国、旅サライ、クレアトラベラーなどの全国誌で特集を組まれたりして店の名前が全国区になっていったこと。 催事という仕事で度々首都圏に行き、それを見た人達が会いにきてくれたり、会いに行って繋いで行った事。 鹿児島に閉じこもってたら今の僕の人脈は築けていないこと。 そしてここ2,3年で日本中からわざわざ食べるためだけに鹿児島までいらっしゃる方のほとんどの方が見ているものが『食べログ』です。 食べログの順位は地方で高単価のガストロノミーレストランをやっていく為にはとても大事なツールです。 一人2,3万もするレストランを予約で埋めて行くには日本中からゲストを呼ばなければなりません。 鹿児島来てからガイド本見て探す人達はcainoya へは来ません。ラーメン、トンカツ、焼肉、鮨などでしょうか? でも、わざわざ飛行機や新幹線で食べに行く食いしん坊達は皆食べログを見ていますし、『参考』にしています。そして口コミです。 これまでどうでもいい、むしろ否定してきた食べログですが、ここまで高評価になってくると、上手にお付き合いした方がいいと判断しました。 レビュアーに間違ったりしたコメントやデータ、イマイチな写真載せられたりするなら無料会員になってこちらでコントロールするようにしました。 ミシュランも世界ベストレストランも来ないこの鹿児島でまず、食べログイタリアン一位を穫り一定期間維持しないと話にならないとおもっています。 レストランを経営して行く上での一つの線引きとしてお料理8,000円というラインがあると思います。 3800円5000円だと使いたい食材が制限されます。そして追加料金ばかりのメニューになる。なら最初っから追加なしの価格にするべき。 そしてその価格帯のお客様はお食事だけでリピート率も低いとおもいます。8,000円〜のお料理を頼まれる方々は食べる為に予約をしますから楽しみ方も変わると思います。 もし今の僕が独立開業するとしたら、間違いなく15,000円一本でスタートしますね。。。 来年予定している次の店が軌道にのれば、その次の年でこのレストランの最初の返済が終わります。 全面改装して昼10,000円、ディナー15,000円オンリーのレストランにしたいという野望があります。 その為に何をしていくのか・・・・ 【土地】 これまで不利だとしか思わなかったこの生まれ育った鹿児島という街が、今はこの鹿児島だからここまで来れたんだと思う。 これがもし同じ九州でも福岡以外の他県だったらと思うとゾッとしますね。 僕はビジネス本なんて一切読まないし興味ない、むしろ成功例として書かれる側になりたいとさえ思っているくらい。 人は人、僕は僕だから。 もし鹿児島じゃなく、福岡や神戸(大阪東京はあり得ない)のような都会でなまじ繁盛していたら、今のスタイルに行き着いたのか? 繁盛はしていたでしょうが。。 もし鹿児島で最初でそこそこ流行って支払いにも何も困らずにいたら、今のスタイルに行き着いたのか? それはあり得ない。そこら辺のお店と一緒でわざわざ日本中から食べにきてもらえるレストランにはなってはいない。 繁盛しだす、軌道に乗り出すと普通はそこから成長はしない。 現状維持。。。 福岡もそうだと思う。繁盛してるお店は沢山あるけど全国からわざわざ食べに行くようなズバ抜けた個性の店はない少なからず九州にはない。 【原動力】 僕の原動力の一つに『悔しさ』と『ハングリー精神』がある。 だいぶ前に店を始めた頃だけど、「鮨や和食の2万3万は気にならないけどイタリアンの1万は高い」と言われた。 ちょっと待てよ、鮨なんて皿すらも変えないし※盛りつけもないじゃないか?レストランで1万出してみろよ、どれだけ満足するか・・・・ とさえ思い、なら認めさせてやる!!と思ったりもした。今もその価値観はある。鹿児島の高級鮨屋は都会のそれと比べて値段と見合わないと思う。 1万円のレストラン、として考えたら鮨屋だから許される部分はあると思う。 もちろん当時の僕の力量や店のスキルからすれば当たり前だったかもしれないけど。 それから、普段ウチではたまの予約で一番安いコースで安いワイン、、、 明らかに余裕のある方だけど、都会のクダラナイ有名店に食事に行き、何万も使ったオハナシを聞く度に悔しい思いをした。 行ったことに満足していて何を食べたのか?飲んだのかは?覚えていない・・・・ 同じように、海外とかでバンバンお金を使い裕福な時間を過ごす・・・ でもウチに来て安いワインで自慢話を聞かされるツマラナサ・・・ なら有名になるしかない、振り向かせるしかない!!そう思った。 だから段階を経て少しずつ料理の価格を上げてきた。 上げるだけでなく設備投資をし続けてきた。 そして目標とする価格帯の有名店に食べに行き、自分自身がその価格帯のレストランに行き、お客様になり、自分の店に何が足りないのか?自己分析していきた。 これってずっと書きたいと思ってことだけど、イライラした状態では書けないし時間と余裕がないとタダの愚痴になるからね。 【苦悩から生まれたもの】 最初から、客単価1万円で計画したこの店が鹿児島だけで埋まるハズがない事は分かっていた。 でも思うように行かない日々。。売上がなければお金もないから支払いも遅れがちになり精神的余裕もなくなる。 でもその苦しさと悔しさの中からの発言で沢山の人が僕に興味を持って頂き、それをチカラとして数多くのシステムや料理を生みだした。 それが専門料理、料理王国で特集されてその分野での地位を築いたと思う。そこから同業者からのコンタクトが一気に増えた。 プリフィクスをやめておまかせにして、料理を絞ったのは正直、あまりにも苦しくて仕入れが出来ないから仕入れる食材を押させるために始めた事実・・・ でもそうする事で作り込むという事を考えだした。 作り込む事でお客様がその皿を評価し、また食べたいという声からスペシャリテと呼ばれる皿が生まれてきた。 店が「当店のスペシャリテです」と言うのはカッコ悪いし作りながら進化しないと意味がない。 ヴィシソワーズなんてまさにそう、沢山残ってたから出し続けたたらあまりにも好評でこの時期の定番になった。 【ペアリングについて】 ペアリングだって、数年前に完全に一人になった時にそれまでボトル売りが主体だったこの店で、 一人で料理してサーヴィスするのに選んでもらう時間もなくなったので、最初は、泡、白×2、赤×2でグラスで合わせだしたらこれがもの凄くウケて、 どんどんエスカレートして全皿ワインを変えるスタイルになった。 開ける勇気と捨てる勇気(飲めばいいだけ) もの凄いロスも出してきた。月曜火曜休みのウチの店、日曜日の夜にタイミング悪く??一人でペアリングでも開けてきた。 休みの日に家で、鮨屋に持ち込んで飲んだ。 売る為にペアリングの楽しさを書き続けてきた。 でも続けるうちに他では出来ないこのスタイルの評価があがり、ディスペンサー導入も考えたがなくても回るようになった。 凄いワインもどんどん組み込んだ。 ボトルだと1万超えるのも数本入るけどあくまでお料理に合わせるワイン。 だから泡からスタートしない。 それを知ってもらうには発信し続けるしかない。 やり続けるしかない。 そしてこの客単価でもこうやってお客様がリピートしてくださる理由の一つに『定額制』で安心して予算が組める。という点は大きいと思う。 それから、ワインを売るならワインセラーで管理するのは当たり前ですが、それ以上にグラスを揃えなければ始まらない。 例えばワインBARでも、予算の都合で雑居ビルの4,5階でしかもスナックの居抜きでやっている店もあるしあんなローソファーで飲む気にもならない。 挙げ句の果てにワイングラスを揃えてないなんて呆れてしまう。。。ワインしか商品ないのにどしてグラスくらいとびっきりの奴を揃えないのか? 高価なワインを注ぐだけなら誰でも出来る。開けて注ぐだけ。。。雰囲気もダメでグラスも揃わないなら自分自身が商品になり自分の思いや言葉で付加価値を付けなければお金は頂けないでしょう。 ・・・とカウンターで店主に語った事も数回ある。 決して安くはないけどオカワリしない限り追加料金が発生しないのは大事だと思う。 一斉スタートしかりペアリング、ご予約のお客様のほとんどが僕のブログやFacebookを読んでから来てくださる。食材のこと、調理方法のこと、やりたいこと悩んでること、それらを読んでからのご予約なのでほぼ、店の考えをご理解下さってのご予約なのでトラブルがなくなった。地方でこういう価格帯のこういうスタイルの店は黙っててもダメなんです。やりたいとは言葉にしないといけないのです。 【LONLY★WILD】 最後かな?? 最初はここからの事を書こうと思っていたんだけど相談受けたりするうちに書きたいこと加筆していったら長文になってしまった。 cainoya is NOT THE SAME. cainoyaのキーワードでありコンセプトであり、目指すところです。 10数年かかってようやく自分のスタイルという物が見えてきました。やるべきことが明確になりました。 でもその根底にあるのはBOφWYの"φ"何処にも属さない、唯一無二の個性とオリジナリティです。 毎日、ネットを開けばホッとする様な伝統料理から最先端の奇麗でカッコいいお料理が目に飛び込んできます。 本を買わなくてもシェフ自信が世界中に発信しています。自分の軸を持っていないと直ぐに影響を受けたり流されてしまいます。 でも、、その皿を見て皿の向こうのシェフの顔が浮かぶ皿が一体どのくらいあるだろうか??? 10代のあの頃であったBOφWYのカッコ良さとシンプルで削ぎ落した8ビートとファッションがその後の僕にどれだけの影響力を与えた事か。 それは今も僕の店作りや皿やコースの組み立て方にも現れています。 ただアンプにシールド繋いでギターならしてもいい音にはなならないからコンプレッサーで安定させてイコライザーで調整してディストーションやコーラスで音に幅を持たせる。 それと同じようにスチコンとショックフリーザーはコンプレッサーとイコライザーでガストロバックはディストーションであろコーラス。僕は料理と店をバンドに例える。 自分の料理も、「cainoyaの料理だね」と言われるようになりたいと思っている。 その為には作り続けながら進化させて行くことも大切だと思う。そしてやはり自ら発信し続けて行く事。 公開すること。 そして僕は”φ”何処にも属さないし組合や団体グループにも属さない。 鹿児島は観光都市ですから、みんなで頑張って鹿児島から発信していこう!!というのはよく聞きますが僕は関わりたくないし声もかからない。 沢山の人に応援してもらってここまで来ましたが、他店とは一度も協力したことはないですし今後もしない。 自分自身で発信していく。 日本中世界中からゲストを呼べるようになったらきっと、色んな物がcainoyaに合わせてくれるようになると思っているから。 だからLONLY☆WILDでい続けたいと思う。 慕ってきてくれたら出来る限りの協力はするし、言いたくないことも言っちゃったりするけどね。。それも思うが故ですね。 独立を考えている特に30代前後の若い料理人の人達へ。 いつでも研修も受付けていますし門を叩いてくれれば迎え入れます。cainoyaのスキルが必要だと思うのであれば働いてみてください。ただ、僕の経験上次に上げるタイプの人は独立は難しいと思います。 ・何かを理由にする人(○○だから辞めれない)は人に動かされる。 ・お金で動く人はお金で動かされる。 ・出来ない人は出来ない理由を並べる。 ・自己分析、自己修正出来ないひとはどこへ行っても出来ない。 ・整理整頓できない、不衛生な人
by cainoya
| 2014-05-28 18:29
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