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“赤裸々” 

GV鮨

GV鮨について

▪️スタート
スタートは僕のお鮨やお刺身に対する疑問??から生まれました。僕の、料理に対するフィロソフィーで一番大事にしているのが『塩』です。塩を付けて食べさせる、塩味、ではなく塩を打って味を引き出すという考え方です。そして、醤油を付けずに食べてそのものに味はあるのか??そこからスタートしました。

ガストロバックを駆使したお料理の一つに『GVスカンピのリゾピラフ』がありました。スカンピにアメリケーヌを浸透させたものと海老の出汁で炊いたリゾピラフ。ならコレを鮨にしたら美味いんじゃないか??と思い鮨職人に握ってもらったらこれが美味いのなんのって。同じく魚のアラから引いたブイヤベースをGVさせた握りも抜群でした。そしてハーブや様々なヴィネガー類を組み合わせていく。レストランのシェフが考案する鮨。そこから、ですね。

▪️塩とウェットエイジング
ガストロバックの特徴として、素材に液体を浸透させます。そのままやると、薄くなり味がボケます。受け入れる素材にしっかりと塩を浸透させておき、浸透させる液体にもしっかりと味を打たないといけません。
そこでこれまでやってきたウェットエイジングという方法が必要になります。塩にトレハロースを混ぜておき、そのトレハ塩を打ち、真空パックにしてワインセラーの環境下て一晩強制エイジングをかけるのです。
翌日、骨から抽出したエキスと共にガストロバックにかけるのですが、この液体もトレハ塩で味を調えることでGV処理後にも離水させることなく調理することが可能になります。

▪️鮨という表現の魚料理
日本人は特に鮨に対する想いや考えを持っています。イタリアンやフレンチのシェフに料理に対する考えやあり方を言葉にする お客様はいませんがこと鮨に関しては皆さん語ります。
「批判されるくらいのことをやろう」
「これまでの概念を壊してやろう」
「これが鮨なのか??これは鮨じゃない‼︎と議論させる位人の心に突き刺さるものを作ってやろう」
これまで僕が培ってきたcainoyaとしての料理の表現や組合せ、テクニックを、一皿の魚料理をたった一貫のお鮨に落とし込もうという考えなのです。

▪️一組の宇宙
一皿の皿の中の構成を一口の鮨に。
おいた瞬間に香る鮨。それがGV鮨。
一口ですが口に運べば数回噛むことで様々な味が飛び込んでくる鮨。ハーブやアクセントになる薬味をネタの上に乗せるのか?位置は?ネタとシャリの間に忍ばせるにしても何回めに噛むと美味いのか??一口の中で一皿を表現するために様々な試行錯誤を繰り返します。

創作であって創作でない、これまで特にヨーロッパの海沿いの街やレストランで食べられてきたお料理の組合せにそのヒントはあります。ここで、6月のイタリアで披露する予定のGV鮨のラインナップを元にその組合せや施した仕事について説明しましょう。

▪️menu
●トマトシャリと山葵
ネタに様々な仕事を施し液体を浸透させる鮨ですから、シャリもそれを受け止めるものでなければなりません。そして当たり前だった砂糖と塩を使わないシャリ。
一晩かけて抽出したドライトマトのエキスと黒糖でシャリを炊き、米酢、白バルサミコ、鮎魚醤でシャリを切る。赤茶色のシャリ。
GV鮨に「サビ抜き」はあり得ません。
普通の鮨よりも多目の山葵を挟みますが、全くと言っていいほど山葵とトマト風味のシャリを感じることはありません。山葵は様々な仕事を施したネタの輪郭をハッキリとさせ、シャリとネタを繋ぐ役割があります。もしトマトシャリを感じてしまう握りがあればそれはネタの力強さが足りないのです。

●GV白身の握り "アクアパッツァ"
アクアパッツァの要素を白身に詰め込む。
魚のアラを150度で優しく焼いて、野菜と出汁パックと共にしっかりと煮出したスープはそのままブイヤベースとしても通用するお味。ここに、トマトやパセリなどが入ってます。それを白身に浸透させてます。
仕上げのひと刷毛の醤油に、オリーブの実やアンチョビ、ケイパーの風味を加えてあります。見た目を華やかにする為にナスタチウムの花や葉を忍ばせます。シースルーのアクアパッツァ。噛む度に表情を変えるアクアパッツァです。

●ベリーのヴィネガーで〆た鯖
数年前に作ったフランボワーズヴィネガーのしめ鯖を鮨にするには??そのままではシャリと繋がらないために米酢を加えます。〆る酢と仕上げの酢でフランボワーズとブルーベリーを使い分けることで深みのあるベリー香
そしてこれまでにないしめ鯖を表現しています。

●GV鰯 "ベッカフィーコ"
シチリアに古くからある全体的組合せ。
鰯、フェンネル、レーズン、松の実、オレンジ。レーズンは葡萄。バルサミコでカバーして乾煎りした松の実、カリカリにしたオレンジの皮、フェンネルの葉、オレンジオイルを真空パックで香りを纏める。鰯の出汁やヴィネガーを浸透させ、先のオイル、冷燻させたガルム、オレンジの皮の粉末を添える。シチリアを想像する握り。

●カプレーゼ
極上のモッツァレラであること。モッツァレラのホエーに醤油を加えてGV処理後に漬け込む。シャリのトマトとGVモッツァレラの間にバジリコを忍ばせて鮨でカプレーゼを表現。モッツァレラを握るなんて??いやしかし、これは岡山の名店『鮨 ひさ田」さんのスペシャリテです。そこへ僕らはガストロバックというテクニックを加えました。

●GVムール貝と雲丹 "パエリア"
ムール貝のパエリアを軍艦巻きに。
ムール貝はタイムとニンニクと白ワインでワイン蒸しにして開いたものからショックフリーザーで余熱を断つ。ムール貝の煮汁の味を青唐辛子、パセリ、セミドライトマト、鮎魚醤、出汁、サフランで味を調えて再びガストロバックでムール貝に浸透させる。そのものの出汁を戻すという「超」ムール貝。
シャリには恐ろし量の雲丹、ハーブを混ぜて雲丹ご飯を握り、焼く。ムール貝の出汁を加えてお焦げを作る。まさにパエリア。シャリを焼くなんて、怒られそうですね。

●GV煮穴子
一切醤油を使わない煮穴子。
穴子にはしっかりとトレハ塩を浸透させておく。赤ワイン、バルサミコ、ハーブ、スパイス、焼いた穴子の骨を加えて煮出す。その煮汁で穴子を炊いて、ショックフリーザーで冷ます。
フォアグラの脂を冷燻。その脂を煮汁に加えて煮込んで柔らかくした穴子をガストロバックにかけることでこれまでにないテクスチャーへ。

まだまだ、GV赤身やGVカッパ巻きなどこれから完成させていくネタにもご期待ください。

▪️to the world
恐ろしい手間のかかる鮨というスタイルの魚料理。手間のかかったお料理ほど食べるのは一瞬。しかし心に刻まれるのだと思います。
そしてこのGV鮨は鮨を食べる日本人だけだなく、ガイジンに間違いなくウケる料理だと思います。
先ずは6月のナポリのFESTAVICOとミラノボスコロでのイベントで世界に向けて発信してきます。
しかし、このお鮨を食べれるのは天草の奴寿司だけ。cainoyaでは定期的にイベントを行い沢山のお客様に新しいGV鮨を楽しんで頂きたいと思っています。

futer sushi
next sushi

自分たちが楽しむ。まずはそこからです。

by cainoya | 2015-04-29 09:46
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